介護施設がひとつずつシステムを入れなくていい時代へ 那覇市で始まる共同実証

那覇市内で、複数の介護施設が力を合わせてデジタル化に取り組む新しい取り組みが始まろうとしています。ポイントは、1つの施設が単独でシステムを入れるのではなく、地域の施設がまとまって、機器の導入から行政への報告書づくりまでを一緒に進める「面的支援」という仕組みです。2026年7月時点ではまだ参加する施設を募集している段階で、効果はこれから確かめていくものですが、「小さな事業所でも取り組みやすくなるかもしれない」という視点で分かりやすく紹介します。

介護DXとは何か

介護DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、記録をつけたり、行政に報告したり、入居者の様子を見守ったりする介護現場の仕事を、タブレットやパソコンのシステムを使ってラクにしていく取り組みのことです。

介護の現場は、人手が足りないことに加えて、書類作成やデータ入力といった「事務作業」にも多くの時間が取られています。介護DXは、そうした事務作業の負担を減らして、スタッフが利用者と向き合う時間を増やすことを目指しています。

「面的支援」とは何か

今回の取り組みの中心にあるのが「面的支援」という考え方です。那覇市内の介護事業者10法人が先行して参加し、株式会社驚(沖縄県那覇市)という会社が事務局となって、次のようなことをまとめて手伝います。

  • Wi-Fi環境の整備
  • 業務用タブレットの導入
  • 見守り機器の設置
  • 介護記録などの専用システムの導入
  • 集まったデータの整理や、行政への報告書づくり

「面的」という言葉は、1つの点(1施設)だけでなく、地域全体を面のようにまとめて支援する、という意味で使われています。運営側は、参加する施設の初期費用と月額費用は0円になると説明しています。ただし、これは国の予算の枠組みを活用する計画にもとづくもので、その予算が実際に使えるかどうかは、2026年7月時点ではまだ確定していません。

施設が1つずつ導入する場合と、何が違うのか

介護施設が新しいシステムを自分たちだけで入れようとすると、次のような壁にぶつかりがちです。

  • 最初にまとまったお金がかかる
  • どの機器やシステムを選べばよいか、詳しい人が社内にいない
  • 導入した後も、使いこなせるまでのサポートが手薄になりやすい

その結果、機器を入れただけで終わってしまい、仕事のやり方そのものを見直すところまで進まないケースも多いといわれています。面的支援では、こうした「導入の壁」を事務局側がまとめて引き受けます。参加する施設がやることは、日々のシステムの利用と、改善のためのデータを提供することだけとされています。

なぜ複数の施設で一緒に取り組むのか

1施設ごとにバラバラに契約や導入を進めるより、まとめて進めたほうが、事務局側にノウハウがたまりやすく、効率も上がります。施設の側にとっても、近くの施設と同じ仕組みを使うことで、「困ったときに聞き合える」という安心感が生まれます。

いわば、1人ではハードルが高いことも、地域でまとまれば取り組みやすくなる、というイメージです。

期待される効果と、まだ分かっていないこと

運営側は、1つの施設あたり月150時間の残業削減を目標として掲げています。これは「必ずそうなる結果」ではなく、あくまで運営側が目指している数字だという点に注意してください。

また、「生産性向上推進体制加算」という、生産性を高める取り組みをした事業所がもらえる介護報酬の加算の取得に向けた体制づくりも、支援の内容に含まれています。ただし、これも今後実際にやってみて確かめていく段階のものです。

なお、介護タクシー事業者がこの取り組みの対象になるかどうかは、2026年7月時点では確認できていません。対象となる事業の範囲については、今後の発表を待つ必要があります。

沖縄の介護現場にとって、どんな意味があるのか

沖縄県では今後、高齢化がさらに進むと見込まれており、介護を支える人材の確保は、事業を続けていく上で大きな課題になっています。この取り組みがそのまま成果につながると決まったわけではありませんが、「デジタル化は体力のある大きな施設だけのもの」というイメージを変えるきっかけになる可能性があります。

地域でまとまって取り組む形が広がれば、これまで一歩を踏み出しにくかった小規模な事業所にとっても、デジタル化に挑戦しやすい環境が整っていくかもしれません。

まとめ

那覇市で始まろうとしているこの取り組みは、介護施設が1つずつシステムを入れるのではなく、地域みんなでまとめて支援を受けられる新しい形です。効果はこれから確かめていく段階ですが、「人手不足」と「事務作業の負担」という2つの課題に、地域ぐるみでどう向き合っていくのか、今後の動きに注目したいところです。

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