年を重ねた親と暮らしていると、ある日ふと気づく瞬間があります。
「そういえば最近、一人でバスに乗るのが難しくなってきたな」
足腰が弱ってきた、車いすが必要になった、付き添いがいないと外に出られない。そうなると特に困るのが、病院への通院です。定期的に通わないといけないのに、毎回タクシー代がかさむ。かといって家族が毎回送るのも、仕事があると簡単ではありません。
こういうとき、実は自治体に外出を助けてくれる仕組みがある場合があります。今回は那覇市の例を紹介しながら、こうした制度と介護タクシーの関係についてお話しします。
那覇市の「高齢者の外出支援サービス」とは
那覇市には、体の状態から一般の交通機関を使うのが難しい高齢者を、自宅から病院などへ送り迎えする仕組みがあります。「高齢者の外出支援サービス事業」と呼ばれるものです。
那覇市が過去に公開していた案内によると、対象になるのは65歳以上で、寝たきりや車いすのために路線バスなどを利用するのが難しい方。自宅と医療機関の間を送迎してくれて、利用料金は片道480円、月に往復2回まで使えるという内容でした。
送ってもらえる範囲も決まっていて、那覇市内のほか、隣接する浦添市・西原町・南風原町・豊見城市、それに宜野湾市・中城村・八重瀬町にある特定の病院までがカバーされていました。
ここで一つ、大事な注意があります。この数字は過去の案内に基づくもので、料金や対象、範囲は年度によって変わることがあります。実際に使いたいときは、必ず那覇市の最新の情報を確認するか、市の窓口(ちゃーがんじゅう課)に問い合わせてください。「去年はこうだった」が今も同じとは限らない、という前提で見てもらうのが安全です。
介護タクシーとは、何が違うのか
「それって介護タクシーと同じじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。似ているようで、性格が違います。
自治体の外出支援サービスは、あくまで市がお金を出して行う福祉の仕組みです。だから料金が安く抑えられている代わりに、対象になる人や使える回数、行ける場所が細かく決められています。誰でも自由に、いつでも呼べるわけではありません。
一方、介護タクシー(正式には福祉輸送サービス)は、民間の事業者が行うサービスです。自治体の制度のような回数や範囲の縛りがなく、通院はもちろん、買い物や役所の手続き、家族の集まりへの参加など、行き先を選べる自由度があります。車いすやストレッチャーのまま乗れる車を使い、乗り降りの介助もしてくれます。その分、料金は自治体の制度より高くなります。
つまり、どちらが良い・悪いという話ではありません。使える条件に当てはまるなら自治体の制度は費用の面で心強いですし、条件に合わなかったり、もっと自由に動きたかったりする場面では介護タクシーが頼りになる。両方を知っておくと、状況に合わせて選べます。
制度は自治体ごと、年度ごとに変わる
もう一つ覚えておきたいのは、こうした外出支援の仕組みは自治体によってバラバラだということです。那覇市にある制度が、隣の市にそっくり同じ形であるとは限りません。名前が違ったり、対象や料金が違ったり、そもそも似た制度がなかったりします。
さらに、同じ市の中でも年度が変わると内容が見直されることがあります。予算の都合で対象が広がる年もあれば、逆に条件が厳しくなる年もある。だからこそ、「自分の住む地域では今どうなっているか」を、その都度確かめることが大切です。
調べ方はシンプルで、お住まいの市町村のホームページで「外出支援」「高齢者 通院」などと検索してみる。分かりにくければ、高齢者福祉の担当窓口(那覇市なら、ちゃーがんじゅう課)に電話で聞くのが一番確実です。
おわりに
親や家族の外出をどう支えるかは、多くの家庭がいつか向き合う問題です。全部を自分たちだけで抱え込む前に、まず「使える制度はないか」を調べてみる。それで足りない部分を、介護タクシーのような民間のサービスで補う。この二段構えで考えると、気持ちがずいぶん楽になります。
今回は那覇市を例にしましたが、大事なのは仕組みの名前を覚えることではなく、「地域には支えがあるかもしれない」と知っておくことです。困ってから慌てて探すより、元気なうちに一度目を通しておくと、いざというときに動きやすくなります。
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