厚生労働省が、「老人保健健康増進等事業」という制度で、令和8年度の追加募集を始めました。名前は難しそうですが、中身はシンプルです。これからの高齢者向けの新しい取り組みを試すために、国がお金を出しますよ、という話です。
ただ、ここで一つだけ大事なことがあります。これは「介護の現場ですぐ使える補助金」ではありません。ここを勘違いすると話がまるで変わってしまうので、順番に見ていきます。
これは誰のための制度なのか
お金を受け取れるのは、次の相手だけです。
- 都道府県や市町村などの自治体
- 国が「ここなら任せられる」と特に認めた法人
つまり、街の介護事業所やデイサービスの会社が「うちの新しいサービスの資金にしよう」と直接申し込めるものではありません。実際にこの仕事をするのは、大学や、調査を専門にするリサーチ会社、業界の団体など。国に代わって「調べて、試して、報告する」役割の団体だと思ってください。
「介護の補助金が出るらしい」という言葉だけが広まりやすいテーマなので、まずここははっきりさせておきたいところです。
どんな中身なのか
対象になるのは、高齢者の介護や健康づくり、生活の支えなどに関わる、まだ全国には広まっていない新しい取り組みです。
これだと分かりにくいので、過去に実際どんなテーマが選ばれてきたかを挙げてみます。
- 認知症の人と家族を支えるための手引きづくり
- 高齢者が集まって体操をする「通いの場」で、どうすれば元気を保てるか
- ケアマネジャー(介護の相談役)の仕事をもっとやりやすくする方法
- 介護ロボットや機器を、現場でうまく使うための工夫
- 高齢者への虐待が、なぜ起きてしまうのかの分析
どれも「今すぐ全国のルールにするのは早いけれど、これから必要になりそう」なものばかりです。ここで試した結果は、あとで国のルールづくりや、数年ごとに見直される介護の仕組みに活かされていきます。
いつまでに
今回は、一度目の募集に続く「追加の募集」です。書類の提出期限は次のとおりです。
令和8年7月17日(金)まで
出された事業は、専門家の委員会でチェックされます。必要に応じて直接話を聞く場も設けられ、その内容をふまえて、選ぶかどうか・いくら出すかが決まります。計画がしっかり練られているかどうかが見られる、という流れです。
「うちの現場には関係ない」で終わらせないために
ここまで読むと、「じゃあ自分には関係ないな」と思うかもしれません。でも、現場で働く人にも、一度目を通しておく価値があると思っています。
理由は、この募集のテーマを見れば、国がいま「高齢者のことで何を一番気にしているか」が分かるからです。
国は、なんとなくお金を出しているわけではありません。「次はここに手を打ちたい」と考えている場所にお金をつけます。だから今回どんなテーマが募集されているかは、数年後に介護の制度が動く方向を、先に教えてくれるヒントのようなものなんです。
さっきの例で言えば、「認知症」や「介護ロボット」が毎年のように出てくるのは、国がそこを重く見ている証拠でもあります。制度の変化を早めに知っておけると、それだけで準備の時間がつくれます。「お金がもらえるか」ではなく、「国はこの先どこを見ているのか」という目で眺めると、この地味な募集がぐっと身近になります。
まとめ
- 令和8年度「老人保健健康増進等事業」の追加募集が始まった
- 受け取れるのは自治体と、国が特に認めた法人だけ(一般の介護事業者向けではない)
- 中身は、認知症ケアや介護予防など、これからの高齢者向けの新しい取り組みを試す事業
- 提出期限は令和8年7月17日(金)
- 現場の人は「国が次に何を気にしているか」を読むヒントとして使える
制度の詳しい内容や書類の様式は、下記の厚生労働省のページで確認できます。条件や進め方は年度や事業によって変わることがあるので、実際に検討するときは公式の資料や役所を必ず確認してください。
出典:厚生労働省「令和8年度老人保健健康増進等事業(老人保健事業推進費等補助金)の国庫補助協議(追加公募)について」
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