沖縄県介護保険広域連合が、「カスタマー・ハラスメント防止規則」という新しいルールをつくりました。令和8年6月19日から、すでに始まっています。目的は、利用者さんからの行きすぎた言動から職員さんを守ること。働く人が安心して働けてはじめて、良い介護を続けられる——そんな考え方が土台にあります。
今回は「規則」と「基本方針」の2つがセットでつくられました。規則が大きな枠組みを決めるもの、基本方針はもう少し具体的に「どこからがカスハラなのか」「どんな種類があるのか」を示すものです。事業所としては、両方に目を通しておくと安心です。
カスハラって、なに?
「カスタマー・ハラスメント」を縮めた言葉で、かんたんに言うと、利用者さんやご家族からの行きすぎた言動のことです。介護の現場だと、たとえばこんなものが当てはまります。
- 大声で怒鳴る、人格を否定するようなことを言う
- 「やって当たり前だろ」と威圧する、土下座を求める
- 契約に含まれないことを何度もしつこく求めてくる
- 体を触る、性的な言動をする
- 必要以上に長く居座る、電話で何時間も拘束する
- SNSや口コミに事実と違うことを書き込む
一回きりの強い言葉、というより、こういった言動が繰り返されたり、程度が行きすぎたりすると、職員さんの心や体に大きな負担がかかってしまいます。
「正当な要望」とは、ちゃんと区別する
ここが大事なところです。利用者さんやご家族からの意見・要望が、すべてカスハラになるわけではありません。「もっとこうしてほしい」「ここが不安だ」といった声は、サービスを良くするための大切なヒントです。
カスハラかどうかの分かれ目は、おおまかに言うと「要求の中身が妥当か」と「伝え方の手段が常識の範囲か」の2つ。たとえば、要望そのものは正しくても、伝え方が暴言や威圧だったら、それは行きすぎです。逆に、ていねいな言い方でも、契約外のことを延々と求め続けるなら、それも度を越えています。基本方針では、こうした判断のものさしが示されています。
なお、認知症などの症状からくる言動は、悪意のあるカスハラとは分けて考える必要があります。この線引きは現場でも難しいところなので、迷ったら一人で判断せず、チームで共有するのがおすすめです。
なぜ介護の現場で大事なの?
介護は、人と近い距離で、長く付き合う仕事です。だからこそ信頼関係が大切な一方で、関係が近いぶんトラブルも起きやすい。我慢して抱え込んだ職員さんが心を疲れさせ、最悪の場合は離職につながる——そうなると、現場が回らなくなり、結局は利用者さんへのサービスにも響いてしまいます。
職員さんを守ることと、良いサービスを続けることは、対立するものではなく地続きです。今回のルールは、その土台を守るためのものだと考えるとわかりやすいと思います。
事業所として、何をすればいい?
むずかしく考えなくて大丈夫です。まずはこのあたりから、できることを進めてみてください。
- 対応の流れを決めておく:何かあったとき、誰に報告し、誰が対応するかをあらかじめ決めておく
- 一人で抱えさせない:その場で一人で対応させず、複数人や組織として動く形にする
- 記録を残す:いつ・誰が・どんな言動を受けたかをメモしておく。後で相談や対応をするときの土台になる
- 研修で共有する:「これってカスハラかも」と職員さんが気づけるよう、事例を共有する
- ひどい場合の選択肢も知っておく:悪質なケースでは、契約の見直しや、警察・行政への相談も選べると知っておく
そして何より、「困ったら相談していい」と思える雰囲気があるかどうか。報告した人が責められない職場であることが、いちばんの土台になります。
行政書士として思うこと
私たち行政書士は、介護事業者さんの手続きや運営をお手伝いする立場です。こういうルールができることで、現場の安心につながればいいなと感じています。
実際のところ、規則や基本方針を「読んで終わり」にせず、自分の事業所のマニュアルや掲示物に落とし込むところまでやって、はじめて意味が出てきます。働きやすさは、めぐりめぐって利用者さんへのサービスにも返ってきますから。
まとめ
今回の規則は、職員さんを守るための一歩です。まずは規則と基本方針に目を通して、「自分の事業所だとどう動くか」を一度考えてみてください。対応の流れを決めて、記録を残して、相談しやすい雰囲気をつくる。この3つだけでも、現場の安心感はぐっと変わってきます。
※ルールの細かい内容や運用は、事業所の状況によって変わることがあります。判断に迷うときは、広域連合や専門家に確認すると安心です。
手続きの内容がはっきりしていなくても大丈夫です。
まずはLINEでお気軽にご相談ください。
元になった情報:沖縄県介護保険広域連合「カスタマー・ハラスメントの防止について」